海を汚染するプラスチックから作られたバックパック「The Upcycled Backpack」
せっかくきれいな海岸を歩いていても、ついつい目に入ってくるのが、ペットボトルなどのプラスチックごみ。再利用されずに捨てられてしまったプラスチックが、大量に海に流れ込んでいきます。誰も手入れをしていない浜辺は、いまやプラスチックごみが山のように漂着しています。さらに恐ろしいことに、海のごみの多くは、数ヶ月浮遊したあとに、海底に沈んでいってしまいます。こういった海を汚しているプラスチックごみは、海洋プラスチックごみと呼ばれています。
そんな海洋プラスチックごみを減らすだけではなく、それを毎日使うものに加工しようとする取り組みがニューヨークで始まっています。
海洋プラスチックごみは、なんと1億5000万トン!
WWFジャパンによると 、世界の海にあるプラスチックごみは、なんと合計1億5000万トンにのぼるとのこと。さらに、年に800万トンが増えているのが現状。800万トンというと、ジャンボジェット機5万機分にあたるそう。この数字は、私たちの生活がいかにプラスチックに依存しているか、また、それを再利用する仕組みが成熟していないかを物語っています。
海洋プラスチックごみは、海の生物を傷つけるばかりか、細かく砕けたマイクロプラスチック(5mm以下のプラスチックごみ)は、生態系に悪影響を及ぼすばかりか、食塩などに含まれている可能性が指摘されています。つまり、私たちが捨てたプラスチックは回りまわって、私たちの体内に蓄積されていっているということに。知らないうちに、プラスチックの微粒子が体のなかに溜まっていく……、考えただけでぞっとしませんか。
海から集めたプラスチックでバックパックを作ろう!
海のプラスチックごみを使って、毎日使うバックパックを作ろうと立ち上がったのが、ニューヨークのSolgaard Design。かばんやスーツケースなどのオリジナル製品を作っていた彼らは、自社製品を海洋プラスチックごみ由来にすることを目標に掲げています。
クラウドファンディングサイト「Kickstarters」でキャンペーンを行った 最新ラインのバックパック「The Upcycled Backpack」は、ひとつのバックパックあたり5ポンド(約2.3kg)の海洋プラスチックごみを使います。
海から集められたプラスチックは、分類され、洗浄されます。その後、フレーク状に粉砕され、ペレットに熱処理されます。ペレットは引き伸ばされて、糸になり、その糸で布地をつくります。その布を使って、バックパックがつくられているというわけ。
バックパックには、素材の採集地の証明書が添付されるそうで、最初のプロジェクトではモルディブの海で採集されたプラスチックごみが使われるとのこと。
プロダクトとしての完成度も高い!
このバックパックは、プロダクトとしても非常に優れていて、ノートPCなどのガジェットを持ち歩く人には、かなり魅力的な設計です。15インチのラップトップが収納でき、内側のオーガイザーポケットがとても充実しています。サイドポケットやスーツケースに固定するためのストラップ、スリ対策の隠し収納まで備えています。
プラスチックごみ削減への徹底的なこだわり
海洋プラスチックごみを減らすことに取り組み一方、Solgaard Designは、まずプラスチックの使用量を減らすことを訴えていて、プラスチックストロー削減を呼びかけています。そういった理由で、 The Upcycled Backpackには、ステンレス製のストローがバックパックに備わっています。
さらに、配送時の梱包にもこだわっています。というのも、世界のプラスチック消費の39%は梱包材やパッケージだから。彼らが考え出したのは、生分解性のジッパーをつけた耐水性のトートバッグで梱包するアイディアです。トートバッグそのものがエコな素材でつくられているばかりではありません。通常の梱包材であれば、捨てられてしまうところですが、ジッパー付き&耐水のトートバッグですから、実用性は抜群。捨てることなく、ユーザーが日常的に使ってくれることを期待しています。
ゼロウェイストなアイディアがたくさん詰まっているThe Upcycled Backpack。プロジェクトやプロダクトそのものがエコであることはもちろんのこと、ユーザーが語れるストーリーがあることが素晴らしいですよね。「わたしのバックパックは、モルディブの海に流れ着いたプラスチックからつくられたんだよ」と、きっと友人に語りたくなるはず。 ノマドワークに最適なバックパックなので、フリーランスやコワーキングスペースを利用するクリエイティブな人にもおすすめです。購入したい人は、Solgaard DesignのWebサイトをチェックしてください!