食べられる町があるって本当?イギリス・トッドモーデンの取り組み

イギリス北部にある小さな町、トッドモーデン。人口は1万5000人に満たないこの町は、「食べられる町」「風景が食べられる町」と呼ばれ、世界中の注目を集めています。きっかけになったのは、パム・ワーハースト氏によるTEDでのプレゼンテーションかもしれません。エコツーリズムのユニークなケースでもあり、これからのサステナブルな地域の形を考えるうえでも、とても重要なモデルです。マンチェスターなど、イギリス北部を旅するときには、ぜひ立ち寄りたい町トッドモーデンの取り組みとはどのようなものなのでしょうか。

「Incredible Edible Todmoden(インクレディブル・エディブル・トッドモーデン)」食べられる町とは?

トッドモーデンは、町中のいたるところに「Edible Garden(エディブル・ガーデン)」があり、そこにはハーブや果物など、文字通り「Edible(食べられる)」な植物が植えられています。それらの植物は、誰もが収穫することができます。なんと観光客だって食べてよいのです。

日本でも広がりつつあるコミュニティガーデンが町全体に拡張されたようなモデルです。住民の手によって育てられ、住民が収穫できます。もちろん強制ではなく、食べることも大切な参画と考えられています。子どもたちへの食育としても有効で、スーパーマーケットに並んでいる野菜しか知らない子どもたちは、身の回りに生えている植物を食べることで、野菜や果物のリアルな姿と味を知ることができます。

観光客はただ食べて帰ってもらうだけではつまらないということで、「Incredible Edible Green Route(インクレディブル・エディブル・グリーン・ルート)」という町のなかを巡るツアールートの確立にも取り組みはじめました。さらに、市民にも観光客にも植えられているものの名前がわかるように、住民自身がサインをつくり、あちこちに掲げています。

3人の住民からはじまった画期的な取り組み

きっかけは2008年。トッドモーデンの市民であるパム・ワーハースト氏は、人口が減少し、衰退をはじめていた町を心配していました。さまざまな垣根を越えて、人々がつながりを取り戻せるように町を活性化させたいと友人たちと話していたそうです。そこで、彼らは、そのために「食べ物」という誰しもに共通するキーワードに注目しました。彼らは住民集会で「食べ物」を軸にアイディアを出し、誰の許可も得ずに、町のあちこちに植物を植えはじめました。

大通りの道端に植えるところからはじまり、空き地、駐車場、そして病院の周り、ついには警察署の前にまで。町のいたるところ、植物が植えられるところにはあちこちに食べられる植物が植えられています。前述のツアールートなども行政の許可を得ているわけではなく、自主的に行っています。

例えば、警察の前には、トウモロコシが植えられているそうで、その畑の看板には「It’s a fair cop cob(警察ではなくて、トウモロコシの軸だよ)」とユーモアが書かれているそう(引用元:「イギリスの小さな町の大胆な改革」岸上祐子)。つまり、トウモロコシを食べたい人は、警察の眼の前でトウモロコシを採って食べるわけです。なんだかとてもおもしろいですよね。本来、こういった公共スペースに植物を植えるためには、煩雑な行政の手続きを経なければなりません。しかし、市民が主体となって、大きなうねりとなったこの活動に、行政はあえて細かいことを指摘せずに、市民の取り組みを容認しているようです。トッドモーデンのさまざまな事例では、行政側も粋な取り計らいをしていて、行政と民間の垣根を越えた地域の取り組みが実現しているようです。

日本のこれからのコミュニティガーデン

先ほども引用した岸上祐子氏のレポートでは、このトッドモーデンから起こった活動は、イギリス国内では50自治体、さらにフランスやアメリカなどにも広がっていると述べられています。このレポートが書かれたのは2014年ですから、今はもっと広がっているのでしょう。

では、私たちのまわりではどうでしょうか。日本国内では、空き地活用の取り組みとして、コミュニティガーデンが広がりはじめているようです。地産地消や食育としての取り組みはもちろんのこと、人口が減少していくなか、どのように地域の土地を活用していくのか、どのように地域の人のつながりを生んでいくのか、コミュニティガーデンには大きな可能性を感じます。風土や文化の違いもあり、トッドモーデンのような革新的な取り組みはまだないようですが、日本でもこのような市民主体で既存の枠組みを乗り越えていくような活動が生まれていくかもしれません。

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