ニューヨーク初のゼロ・ウェイストなグローサリーストア「Precycle」

2018年12月、「JUST FOOD – NO PACKAGING(フードだけ、パッケージは無し)」をキャッチコピーに、ゼロ・ウェイストなグローサリーストア「Precycle」がニューヨークにオープンしました。決して世界初というわけではありませんが、エシカルな先進例が多いニューヨークで生まれたこのモデルを紹介します。

ゼロ・ウェイストを掲げるスーパーとしてはNY初

Photo by Marina Moskvina Williams / Precycle

アメリカのグローサリーストアは、日本でいうところのスーパーマーケットに近い業態で、主に食料品を提供しています。「Precycle」のようなゼロ・ウェイストな食料品販売は、世界各国に前例があります。日本でもイベントでの実施例(100 BANCH STREET!!/東京・渋谷)などが知られています。ニーズが確実にあるニューヨークに、このような業態がこれまでなかったことはとても不思議なのですが、3年間の準備期間を経て、満を持してオープンしたというわけです。

Precycleを立ち上げたKaterina Bogatirevaさんは旧ソ連・ラトビア出身の女性。ウェブサイトには、彼女がPrecycleを立ち上げた経緯が記されているので、簡単に紹介しましょう。

幼少期、彼女の身の回りには、決して食べものが豊かにあったわけではなかったそうです。そして、プラスチックの袋はとても貴重で憧れでさえあったのだとか。2000年代初頭、ニューヨークに移住した彼女は、アメリカの豊かな食料品消費や使い捨て文化に慣れていったそうですが、次第に使い捨てをやめようと心がけるようになります。Precycleをオープンするきっかけは、ある日、彼女の子どもが口にした「ママ、埋立地に捨てられたプラスチックはいつまで残りつづけるの?」というシンプルな問いだったそうです。

量り売りや地産地消など、複合的な取り組み

Photo by Marina Moskvina Williams / Precycle

Precycleの取り組みは非常によく考えられています。

1. 量り売りであること。
スパイスや穀物、豆類、油など、自分の必要な分だけを購入することができます。不必要に多くパッケージされたスパイスや調味料をたくさん余らせて捨ててしまった経験はないでしょうか。

2. 販売什器や容器がすべて再利用可能な素材であること。
プラスチックごみが出ないように配慮されています。

3. 農作物は直接生産者から仕入れていること。
地域経済に配慮した地産地消型であり、生産者の透明性もあります。いわゆる「bulk(パッケージされる前のばらばらの状態)」で仕入れているので、包装無しの裸売りを実現しています。近隣地域からの仕入れのため、商品は新鮮であり、さらに流通包装も不要です。(また、おそらく仕入量を調整しやすいので、店舗側での売れ残りが出にくいように配慮されているのではないでしょうか。)

4. 消費者が袋や容器を持参する。
野菜を買うなら袋を、調味料を買うなら瓶などを消費者自身が用意する必要があります。(準備のない人のために、繰り返し使えるガラスジャーや紙袋も売られています。)

これらの店舗の特徴のなかでも、4番目は白眉といえます。店舗が無駄なごみを生み出さないというだけではなく、消費者自身が持ち帰るための「用意」をしなければならない点が、消費者の意識や暮らしを変えるきっかけをつくってくれるはずです。

食料品小売の未来が見えてくる

Photo by Marina Moskvina Williams / Precycle

Precycleの業態は、食料品販売店舗のひとつの未来を示しています。日本国内では、八百屋さんのような小規模の食料品商店は姿を消し、大型の商業施設やスーパーマーケットが寡占しています。大規模な流通と生産力で均質化された商品やサービスに私たちは慣れきっていて、この状況は、アメリカだけでなく、多くの先進国においても同様です。

最近は、農作物の直売所や地産地消が注目されはじめていますし、レジ袋の廃止やエコバッグの普及もずいぶんと進んできました。顧客至上主義、過剰包装主義の日本で、果たして徹底的にパッケージフリーなコンセプトが一般消費者に受け入れられるかは分かりませんが、遠くない将来、人口減少社会のなかで量り売りのニーズや経済性、「量より質へ」といった価値観のシフトが起こるのではないでしょうか。

Precycle

https://www.precyclenyc.com

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