中国がプラスチックごみの輸入をやめて、なにが起きているの?

2018年からはじまった中国のプラスチックごみの輸入規制。その影響が数字で分かるようになってきました。私たち自身が生み出しているプラスチックごみが中国へ輸出されてきた背景やこれからの日本のリサイクルについて考えてみます。きっと私たちの生活を見直すきっかけになるはずです。

中国によるプラスチックごみ輸入規制の背景

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AFPによると、日本は年間150万トンものプラスチックごみを輸出しており、そのうち多くの輸出先が中国でした。日本ばかりではありません。世界各国が自国のプラスチックごみを中国に輸出してきました。中国はプラスチックごみを資源として輸入し、それを再利用していましたが、加工できるキャパシティと輸入量がまったく釣り合わなくなってしまったのです。過剰な輸入に加え、中国自体が急激な経済成長をしていることも大きな要因で、中国国内で生まれる廃プラスチックは増えるばかりです。

「日本にたまるプラごみ増、中国の輸入禁止受け 環境省報告」(AFP)

この記事では、米科学誌「Science Advances」に掲載された論文のデータを「1992年以降に世界で排出されたプラごみの4分の3近くが、中国本土と香港に持ち込まれていたという。」と紹介しています。

また、Bloombergの記事も、同論文のデータをもとに「16年に出たプラスチック廃棄物全体の半分以上に当たる740万トンを引き受けたのが中国だった。」と述べています。

効果的な処分方法がまだ見つからないプラスチックごみを一手に引き受けてきた中国が突如として受け入れをやめたことで、世界中が自国の廃プラスチックを持て余すことになりました。

次なる「ゴミ捨て場」となるかもしれない東南アジア

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中国に輸出してきたプラスチックごみの輸出業者は、次なる輸出先としてタイやマレーシア、ベトナムをはじめとした東南アジアを選びました。もともと、中国が輸入した廃プラスチックを原料として、東南アジアがその加工の一部を担っていたことも背景にあります。

すると、急激に受け入れることが困難なほどに、東南アジア諸国にプラスチックごみが押し寄せました。タイは中国の輸入規制の半年後に輸入規制を実施。ベトナムもマレーシアも同時期にタイに続いて、輸入量の一時規制を行いました。その結果として、インドネシアへの輸出量が増えているようですが、もちろんこれにも限界があります。そもそもインドネシアは、プラスチックごみを処理体制が国内に整っていません。世界でも最も深刻な海洋汚染国のひとつであることからも、今後インドネシアが主要輸出先になることは考えにくいでしょう。

しかし、東南アジア諸国の輸入規制は一時的な措置です。しばらくの間は、中国ほどの規模でないにせよ、東南アジアが次なる世界のプラスチックごみ捨て場になってしまうかもしれません。

日本のプラスチックごみの現状

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環境省の発表によると、日本国内のプラスチックごみの保管量が増加しているとのこと。中国による輸入規制から一年以上が経ち、未処理量が25%を超えている自治体も少なくないようです。さらに、処理量の増加に伴い、処理コストが上昇しているようで、前途は厳しいと言えます。(AFP

そもそもプラスチックは、処理技術がまだまだ未開発ですから、埋め立てに頼らざるをえません。日本は世界的に見ても、プラスチックの再利用率が高いと言われていますが、それもサーマルリサイクルと呼ばれる焼却熱のエネルギー再利用を含んだ統計であり、原料資源として十分な再利用がされているわけではありません。

すでに世界中にうず高く積もっている廃プラスチックを処理するだけでも、手に余っている状況であるにもかかわらず、今日も私たちの生活にはプラスチックがあふれています。遠い国の話ではなく、今あなたが暮らしている自治体にもきっと処理に困ったプラスチックごみが集積されていっているはずです。問題はとても身近です。

プラスチックを効率的に再利用する画期的な技術をただ待つのが得策とは言えませんよね。せめて、これ以上プラスチック製品をつくらないように、プラスチックを必要としない暮らしをひとりひとりが選ぶことが大切です。

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