科学の力で排気CO2を鉱物に変えてしまうアイスランドの地熱発電

北欧の国、アイスランド。知っているようで知らない国ではありませんか。アイスランドと言われて、思いつくキーワードといえば、大自然、白夜、オーロラ、火山、温泉といったところではないでしょうか。

今回は、これらのキーワードでは火山や温泉が近い話題です。アイスランドで実証されたCO2を排出しない地熱発電の仕組みについて紹介します。地球の力を借りた、夢のようにクリーンな発電です。

二酸化炭素が地中で鉱物になる……?

Photo by CarbFix

まず、詳しいことを省いて、結果だけを説明をしましょう。アイスランド最大のヘトリスヘイジ発電所では、発電時に発生した排気CO2を地中に戻しています。その排気ガスは時間とともに岩になってしまうというのです。

一口で言えば、環境に有害なガスを地中で石にしてしまう地熱発電所が実現したのです。そもそも地熱によってタービンを回して発電しているので、火力発電に比べて5%程度のCO2しか排出されません。そのわずかなCO2を大気ではなく、地中に戻せるのですから、夢のような仕組みと言えないでしょうか。

一体、なにが起こっているのか、少し詳しく説明していきます。

夢を実現した「CarbFix」プロジェクト

By CarbFix

この実証実験の始まりは、2012年にまでさかのぼります。レイキャビク・エナジー主導の国際研究チームによる、「CarbFix」と名付けられたこのプロジェクトは、アイスランド南西部での実験施設で、地下にある溶岩が冷えて固まった玄武岩に二酸化炭素を注入しました。すると、2年以内には、95%以上の二酸化炭素が炭酸塩鉱物に変わりました。それまでは、こういった地中貯蔵には、数百〜数千年を要すると考えられていましたが、たった2年もしないうちに鉱物になることが分かりました。

それに続いて、2014年には産業レベル規模の実験でも成功し、2018年の終わりには、ヘトリスヘイジ発電所において、6万6000トン(3分の2が二酸化炭素、3分の1が硫化水素)の地中貯蔵を達成しました。これによって、発電所からの排出ガスの40%が削減されたことになります。

ソーダ水をつくるように、発電所から排出される二酸化炭素と硫化水素を大量の水に溶かします。それを多孔質の玄武岩に注入すると、化学反応によって、炭酸塩鉱物化するということです。

アイスランド国内で最大のヘトリスヘイジ発電所は、アイスランドの地学的に理想的なロケーションであり、これからも発電量が増えることが見込まれています。それに伴う排出量の増大も懸念されているため、この技術は有害ガスの排出削減に絶大な効果を発揮することでしょう。

アイスランド以外でも可能?

Photo by Jonas Zagatta on Unsplash

この研究が発表された際のプレスリリースでは、玄武岩が多い地学特性を備えた発電所は、世界中にあるとのこと。それらの施設での応用が期待されています。

しかし、さまざまな課題があります。まずは、大量の淡水が必要であること。二酸化炭素1万トンに対して水25万トンが必要です。淡水ではなく、海水が使えないか、実験は続いています。排出ガスからの二酸化炭素の分離、地中への注入など、処理にかかるコストは少なくありません。こういったコストの問題から、世界的な特効薬とはまだなりませんが、今後の研究次第では強力なソリューションになりそうです。

今後は、EUが出資する「CarbFix2」プロジェクトに引き継がれ、大気中の二酸化炭素を分離できないか、アイスランドの他の発電所やヨーロッパ各国の他の発電所で適用できないか、などといった次のフェーズに研究は突入していきます。

日本も火山大国と知られています。温泉もたくさん。同様の取り組みができないか、これからの研究が楽しみですね。

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