スキーもキャンプもスポーツも!「自然を楽しむ権利」を大切にするスウェーデン

私有地への侵入や通行には所有者の許可が必要、という私たちの当たり前。でも、スウェーデンでは違います。私有地であっても、一定の制限はありますが、自然を楽しむことができるという権利が皆に与えられています。その背景にある「自然を楽しむ」「自然とうまく付き合う」という環境教育をスウェーデンに学びます。

だれもが自然を楽しめるスウェーデン

Photo by Julien Lanoy on Unsplash

スウェーデンでは、たとえ私有地であっても、スキーをしたり、野生のキノコや果物を採取したりすることが可能です。もちろんテントを張ってもOK。オーロラを観測できるラップランドや山々、海岸、島々……、美しい自然が豊かなスウェーデンで、サイクリングやハイキングを思う存分楽しめるというわけです。

ただし、当然といえば当然なのですが、個人の庭や耕作地、宅地の近くには侵入してはいけません。自然を壊したり、所有者を困らせたり、農作物を盗んだりといったことも禁じられています。

「自然享受権」という伝統的な考え方

Photo by Chris Schog on Unsplash

このようなスウェーデンの法的な権利は「自然享受権(Allemansrätt)」と呼ばれています。北欧には伝統的に自然享受権が認められている国が多く、その許される範囲は各国で異なりますが、なかでもスウェーデンは寛容です。(デンマークなどは、自然享受権を認めながらも、私有地への侵入は認めれらていません。)

Allemansrättは、「皆に与えられた権利(everyman’s right)」という意味で、「自然は皆のものである」という考え方が慣習として受け継がれています。この慣習が法律として明文化されたのは1974年。その後、1994年にスウェーデン憲法において定めるところとなりました。これにより、行政は土地の所有者に対して、通行を妨害する柵の撤去を命じることまでできるようになりました。

2017年には、日本でも民泊のプラットフォームとして知名度がある「Airbnb」に国全体が登録されたとして話題になりました。国のあらゆる場所を予約可能というユーモアあるキャンペーンで、今は独立したウェブページとして閲覧することができます。

https://sweden.withairbnb.com/

自然を楽しむには責任も。守るべきマナーをおさらい!

Photo by Jon Flobrant on Unsplash

自然を楽しむ権利には、責任もつきものです。あくまで自然を大切にするという精神が必要です。自然享受権とは、自然を楽しみながら、自然を大切に扱うマナーを覚えていくという環境教育的な慣習とも言えるのです。

公的な環境キャンペーンを実施している「Håll Sverige Rent(Keep Sweden Tidy=スウェーデンをきれいに保とう)」のウェブサイトでは、自然享受権を楽しむための責任として「足跡以外はなにも残さないで」というメッセージとともに、13のマナーを紹介しています。そのうちのいくつかを紹介します。

  • 延焼の恐れがある場所で炎を使わない。
  • ごみは持ち帰る。
  • 排泄物の跡を残さない。
  • 森や自然にダメージを与えない。
  • 絶滅危惧種の植物は採集しない。
  • 犬を連れるときは適切な管理下に。
  • 人間の邪魔をしない。野生動物の邪魔もしない。
  • 自動車で森のなかを走らない。

「Håll Sverige Rent」内のこちらのページ(英語)でより詳しい解説を読むことができます。

一見、なんでも許されているようにも見える自然享受権ですが、国をあげて、しっかりと自然環境保護について啓発を行っています。自然のなかで、実践的に自然との上手な付き合い方、楽しみ方を覚えていくという文化が自然享受権の背景にあるようです。

自然を汚さず、壊さず、責任をもって関わることは、日々の暮らしを見直すことにもつながるかもしれません。国に占める山林や沿岸部の面積が多く、自然が豊かなのは日本も同じです。責任ある自由を楽しむという成熟したエコロジーをスウェーデンに学びましょう!

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